さかさ竹(鉾立)                 

 
鉾立の清九郎さんといえば、日本国中に名前のきこえた、たいへん名高い妙好

人(信心深い人)で、ありがたい話が、いろいろと伝えられている。 本願寺のおっ

ぱんさん(御仏飯)をたくたきぎをせおって、京都まで死ぬまではこびつづけたとい

うのもそのひとつだが、あるとき木津川までくると、大水がでていて川を渡ることが

できなかった。  

 ところが、清九郎さんが念仏をとなえながら川をわたろうとすると、ふしぎなことに

清九郎さんの歩くところだけ水が二つにわれて道をつくり、難なく向う岸へつくこと

ができたということなど、だれにでも知られている話である。  

 ところでそのときいつも使っていた竹の杖だが、清九郎さんがなくなってからのち、

それを墓の上にたてておくと、いつのまにか新芽がでて育っていった。  

 そのとき杖は、さかさにたてられていたので、その枝はみんな下向きにでていたと

いうことである。

 今も高市郡丹生谷の因光寺というお寺の境内には、みんな下向きになった枝をし

げらせているこの竹の一むらが、やぶになっているという。