くすの木仏(比曽)

 欽明天皇のころ、難波の海辺に、一本のふしぎな木がただよっていた。その

木は、まるで太陽のように、光りかがやいていたというのである。天皇は、そ

のうわさをきかれると、すぐに、けらいの一人にいいつけて、それをしらべさせた。

 けらいは、海にはいってそれをみると、光っていたのはくすの木であることに

まちがいはなかったので、そのことを天皇に報告した。

 そんなに光かがやく木はめずらしいので、天皇は漁師にいいつけてそれを

拾いあげ、仏像に命じて二つの仏像をきざませた。  すばらしくりっぱな、光

かがやく仏像ができあがったので、その一体を聖徳太子が建てた比曽の世尊

寺に安置させた。

 これがわが国における仏像彫刻の最初の仏であり、しかもつねにまばゆい

ばかりに光をはなっていたので、それにちなんで世尊寺のことを、現光寺とも

よぶようになったということである