| ほととぎすのなきごえ(芦原) あるところにな、ほととぎすの兄弟がおってんと。ところがふとしたこ とから、兄の方がな、重い病気にかかって、ねこんでしもたんやって。 そいで兄さん思いの弟のほととぎすは、えらい心配して、どないして はよようなってもらおうと思うていたところが、やまのいもを食べさせ たらええときいたんで、さっそく山へいってほってきて、ええところばっ かり食べさせたそうな。なんべんもそないして食べさせておったら、そ れがきいたんか、兄のほととぎすは、やっと重い病気がなおったそうな。 病気がなおると、兄のほととぎすは、「おれの病気のあいだ、弟はやま のいものうまいとこばっかり食べさせてくれよったが、ひょっとしたらもっと うまいとこがあって、あいつはそれを食べとったもんにちがいない。いった い、なに食べてよったものか、みたいもんや。」 と、思うてな、よくねむっ てい弟をひっとらえて、殺してしもたんやって。ひどいことをする兄さんやな。 鬼みたいなやっちゃ。 それからな、その兄のほととぎすは、弟の腹をさいてしらべてみたんやっ て。そしたら弟の腹のなかからでてきたもんは、もっとうまいところどころか、 やまのいものひげとしっぽのまずいところばっかりやったそうな。 それをみ た鬼みたいな兄のほととぎすも、「ああ、そやったのか。お前はおれの病気 をなおしてくれようとして、こんなまずいもんをたべて、しんぼうしとってくれた んか。そやのにうたごうて、お前を殺したりして、すまんすまん。」ちゅうてな 、なみだをこぼしてあやまったそうな。おそくさいわ。なんぼあやまっても、心 のやさしい死んだ弟は、もうかえってきやせんわ。 さあ、そんなことがあっ てからや。兄のほととぎすは、「ほっちょん(包丁)かけた、おとうとこいし、お とうとこいし。」と、血をはくような思いをこめて、夜どおしなくようになってんと 。どや、ほととぎすのなきごえを、きいたことがあるやろが。ようきいてみい。 そないいうてないとるようにきこえるにちがいあらへん。 |